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 事例 (つづき) 




50代男性より
  昔、私が働く施設に○○事件を起こした少年が入所した。その子は家に引きこもり、四六時中スマホゲームに耽溺していた。入所時は落ち着かない様子で、ちょっとしたことで過敏に反応し、苛立ちや不安を訴えた。施設生活は夜9時に寝て朝6時半に起きる。1日2時間のTVを除くとスクリーン断ちである。彼は7日程経った頃から言動が落ち着きだした。その落ち着きを見ると本当に彼がその事件をしたのかとの印象だった。今思えば高情動状態下での犯行だったかもしれないと思った。スクリーンの内容でなく、量を減らすことで脳が安定し、その人なりの安寧な生活ができるなら、多くの人にスクリーンのない生活のメリットを知ってほしいと思う。





30代精神科医より
  報酬の先延ばしの困難や睡眠覚醒リズムの障害、また、特に時間感覚の障害がADHDの症状と酷似していることに驚きました。どこまで実証的な研究があるのかとても気になります。
ESSの存在を知らなければ、エイデン君はADHD、あるいは虐待など他の高度のストレッサーによる症状と判断されることになると思うのですが、こうした非特異的な症状、特に治療がうまくいかない時、なるべく広い角度から治療を見直すことができるかが重要です。
  精神科は、医師の裁量による治療・知識のばらつきが大きく、担当医が変わると劇的に改善することがざらにあります。自験例で恐縮ですが、ひどい場合、10年ほど保護室隔離されていた人の薬をほぼ中止したら普通に働き始めてしまったということがありました。自分では気づけなかった視点を得ることができ、とてもためになる内容でした。
少しずれる話ですが、「専門馬鹿」にならないよう、普段から極力仕事と関係のない本を読み、学会などはあえて興味のない演題を聴くようにしているのですが、臨床をするうえで、幅の広い知識、教養がないと判断が偏ってしまうのではないか、という怖さを感じました。




50代保健師より
  先日、たまたま、発達障害を研究している先生の講義を聴く機会があった。その人は「最近発達障害が増えていますよね」との質問に対して、本当の発達障害の専門家が診察すれば増えていないという回答をしていました。電子スクリーンの影響についてその先生が診察すればきちんと使用しないように助言して正しい診察ができるのか、まったくこのような意見を取り入れず固執しているのか???と思いました。日本でも発達障害の研究をしている先生方が耳を傾けてほしいなあと。幼児健診の場では本当に発達障害っぽい子が増えているのは事実と思います。




30代男性より
  第2章の抄訳を読んで、スクリーンの影響によって、子どもたちが逃げるか戦うかという戦闘状態に置かれているのだということが衝撃でした。また、その状態になっていることを正しく理解していなかった自分も含め、怖さを感じました。特にゲームについては、なんとなく依存(本当はそこだけではないのですが)の問題が話題になるため、避けようとする親もいますが、ゲームじゃなかったら良いという認識で、子どもに触らせている親が多のではないでしょうか。そこがこのスクリーン障がいの怖さだと感じています。
  私の家族も、幼児が2人おり、この問題を抱えていました。泣き止まない時や、手が離せない時にタブレットを渡すとおとなしくなり、なくなると癇癪がひどくなることが多かったです。母親自身も良くなさそうなことは分かっていながら、何がどうよくないのかを分かっていなかったので、スクリーン障がいについて少し紹介してみました。
すると、その怖さを分かったのか、ここ数週間、子どもからスマホやタブレットを遠ざけるようになっています。子どもたちも、最初はなんでだめなの?と駄々をこねていましたが、ここ数日は、ミニカーやレゴブロックなど、他のおもちゃで遊ぶようになり、癇癪を起こすことも減ってきたような気がしています。
正しい知識を知ることの大切さを改めて実感しています。



30代精神科医より
  思春期青年期の心の外来をやっている身としては共感できる箇所が多々ありました。特に「激しい気分変動」「衝動行動」「落ち着きのなさ」に関しては前医から双極性障害やADHDの診断がつけられ、多量の向精神薬が処方されるも薬効に乏しく、果てには過量服薬して救急受診されるというケースが後を絶ちません。背景には漏れなく生活リズムの乱れが生じています。
  しかし現代の若年世代は「ネットの中の自分」を一つのアイデンティティとしても捉えていたり、数少ない心のよりどころがネットであったり等しており、彼らの生活からスクリーンを切り離す難しさも実感します。
  公立小学校ではタブレット端末の配布を行っていたりと絶望的な状況ではありますが、一方でスマホ脳がベストセラーになったりと、徐々にスクリーン障害の概念が広まりつつある兆しも感じます。今後、スクリーン障害が広く知れ渡り、電子端末利用に関する世論の考えがシフトできるとよいなと感じました。



30代保健師より
  小児のスクリーン使用時間の増加について、このままの状況が続いていくと制御失調状態のこどもが益々増えることが懸念されると感じた。
  乳幼児健診で子どものスマホ使用時間を問診で全受診者に確認(2時間以上使用有りで要指導)、情報提供しているが感じることは、電子スクリーンの望ましくない影響を感じ子どもには見せたくないと話す親が多くみられる一方で抄訳でも紹介されているように教育用のアプリやゲーム、読書などは別物と考えている人も多い。そして最も情報提供が必要だと思うのは脳への影響。何となくよくないとは思うけれどそれは感覚的なもので脳への影響を知っている親はほとんどいない。母は与えたくないが祖父母や父が24時間オンライン可能な状況をつくる事も多く、母1人孤立してしまうケースも。家族で脳への影響について共通理解することも大切だと感じている。健診後の事後フォロー教室(多動、言葉の遅れ、かんしゃくなどのこども)も毎回予約待ちの状況がずっと続いているが、暴露時間など担当が細かく聞き必要な情報を提供していくことも大事だと感じている。
  インターラクティブなスクリーンタイムはより悪い。報酬系神経を活性化し依存症的な使用に繋がること...コントロールしている感覚や選択に知らず知らず自分自身も影響されていると改めて気をつけようと思った。



20代保健師より
  今回も衝撃的でも、納得のいく情報をありがとうございました。
お友達の話では今は、2歳の子でもスマホを使えたり、テレビとユーチューブがリンクしていて、テレビでもYouTubeがみれるので、それを子供が見たがるという話しを聞きました。  
そういえば、先輩のお子さんは、あまりにも子供がすごい顔で、「YouTube」というので怖くなって、夫婦で話しあって家のテレビとのリンクをやめたと話していました。その後割とすぐに、YouTubeといわなくなり、塗り絵や折り紙を楽しんでいたようです。子供らしかったと笑っていました。看護学校で子供は遊びながら成長していく。遊ぶこと自体が大切と習っていたのを思い出します。あまり関係ないかもですが、救急外来の子によると今の子供は顔面を強打して歯がおれたり、手を骨折する子が多いようで、はじめは木登りやかけっこなどが出来ないから転ぶ機会が減って手をつく反射がなくなったのかなとも思ったのですが、それだけではなさそうです。その自分を守る手にほかのものが握られていたと思うとぞっとします。時代のせいにはせずに子供たちのために大人もデジタルデバイスとの関係を考えていかないとと思いました。






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